超柔軟なマイクロ粒子の圧縮試験

超柔軟なシェル構造を有する、エアログラファイトマイクロ粒子を圧縮試験したときの動画です。

TEM観察下では、シェルを作っているナノロッドが折れ曲がったり潰れたりすることなく、粒子が変形している様子が分かります。ロッド同士の接合点で大きな曲率で折れ曲がっている黒鉛層が、個々に板バネのように働くことで、粒子全体がこのように大きく変形しても、除荷後はほぼ元通りになっていると推察されます。この動画では、最大歪みは>70%で、この値は、シェル内部の中空空間が完全に潰れた状態に相当します。

SEM観察下では、外形の変化がよく見て取れます。この粒子の圧縮試験では、最初の1,2回では粒子が座屈を伴って圧縮変形していますが、その後、き裂が進展して大きく割れました。大きなき裂が入った状態から除荷すると、シェル全体の弾性はまだ保たれているため、粒子はほぼ元通りの形に戻りますが、変形を繰り返していくにつれて残留ひずみが蓄積します。

この動画に関する解説:とげとげの球殻を持つaerographiteマイクロ粒子の力学特性
発表論文:Ultra-flexible spiked-shell microparticles of aerographite
Kaori Hirahara, Koji Hiraishi, Konan Imadate, Zhenzi Xu, Yuichiro Hirota, Norikazu Nishiyama
Carbon vol. 118, pp. 607-614 (2017).
http://dx.doi.org/10.1016/j.carbon.2017.03.088